【vol.8】”マインドフルネス”で最高の休息を。久賀谷亮『世界のエリートがやっている最高の休息法』

-古本屋ATrACT-書籍図鑑vol.8

世界のエリートがやっている最高の休息法

今回は『世界のエリートがやっている最高の休息法』をご紹介します。

似たような本もよく見ますが、
著者の久賀谷さんは日・米の医師免許を持つ精神科医ですし、さらに研究論文を引用して論理展開をしているため、しっかりと内容は裏付けされています。


(本書の参考文献のほんの一部です)

 

さて今の時代の日本に疲れていない人は一体どこにいるでしょうか。

なぜ休んでも全く疲れが癒されないのか。

そんな疑問に対して本書は次のように興味深いことを綴っています。

脳は「何もしない」でも、勝手に疲れていく・・・
科学的に正しい「脳の休め方」とは?
脳の消費エネルギーの60~80%は、デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)に使われています。
(中略)
ぼーっとしていても、この回路が働き続けている限り、脳はどんどん疲れていくわけです。」
(本書より抜粋)

そして、休んでもダルさや疲れの正体はこの脳の疲れであると述べられています。

正直な話、この本を読んで一番衝撃を受けたのはデフォルト・モード・ネットワーク(以下、DMN)の存在です。これは何もせずにぼーっとしているときに使われる思考回路です。

しかもそんな回路なのに多くのエネルギーを使っている(脳消費カロリーの6~8割を使っている)のがたちが悪い。

つまるところ、休んでも疲れが取れないのは

何もしていない=脳で大量のエネルギー消費

→体の疲れ、ダルさが生じる

という構図があるからなのです。

だから、何もしていないで家で過ごす休日は、身体的な休息にはなっても、脳の休息にならないどころか疲れを上乗せしてしまっているわけです。

ではDMNを抑えて脳を休ませるにはどうしたらいいのか。それは、

今に集中することです。

本書ではマインドフルネスという言葉が頻繁に出てきますが、基本にある概念はこれです。

具体的に言うと、今までぼーっとしながらしていた呼吸や歩くことなどに意識を向けることで脳がぼーっとして消費するエネルギーを抑えるということです。

本書ではこういった”今に集中するテクニック”がストーリー仕立てで具体的に描かれているため、やり方・効果がわかりやすくなっています。

冒頭に本書で紹介するテクニックがすべてまとめてある点や5日間でできるシンプル休息法が書かれている点も読者に嬉しいポイント!

取れない疲れに苦しむすべての方に紹介したい一冊です。

総評:90%
オススメ度:★★★★★

書籍データ
作者:久賀谷亮
発表年:2016
出版:ダイヤモンド社