【vol.85】’浅野いにお’の時代が終わる。『零落』

-古本屋ATrACT-漫画図鑑vol.85

零落

作者:浅野いにお
巻数:全1巻
発表年:2017
出版:小学館

浅野いにお、衝撃の新境地へ–

ある漫画家の、脇目もふらず駆け抜けてきた連載が終わった。
久しぶりに立ち止まった自分に残されていたものは、
残酷なまでの“空虚感”だった。
大切な存在ほど信じ切れず、束の間の繋がりだけに
縋り始める日々―――
漂流する魂が着地した時、男の本当の姿が現れる。

浅野いにお、極限の最新作。

「喜びも悲しみも人としての営みも、全て漫画の中に置いてきた。自分にはもう描きたい事など何もない。」

最終話、極限の4ページに背筋が凍る。

「君は…何にもわかってない…」

漫画とは何か。人生とは何か。

たぶん自身の事を描いた作品なんだろうけど、いつにも増してダークで、鬱屈で。

浅野いにおは今まで何を思って漫画を描いてきたんだろう。

今まで何を思って生きてきたんだろう。

若さは失われていくのだろうか。

漫画の、そして人間の本質を抉る極限の怪作。

浅野いにおの時代がおわる。

総評:96%

オススメ度:★★★★★